生前対策・遺言書の大切さ①:夫の「絶縁した」を信じていたら…まさかの相続人が発覚した話


こんにちは。宮崎県・鹿児島県で相続手続のサポート行っている行政書士法人TMsupportです。

今回は、実際に当事務所へご相談にいただいた「あるご家族の相続の事例」をお話しします。

「うちは家族仲が良いから揉めるはずがない」「過去のことはすべて解決しているから大丈夫」

そう思っている方にこそ、ぜひご一読いただきたい実話です。


目次

舞い込んだ「土地と預貯金の名義変更」のご依頼

ある日、旦那様を亡くされた奥様と娘様が、当事務所へお越しになりました。

ご依頼内容は、ご自宅(土地・建物)の名義変更と、銀行預金の解約手続きです。

初回面談の際、私はいつも必ず次の質問をすることにしています。

「亡くなった旦那様は、結婚前に別の方と婚姻されていましたか?また、その方との間にお子様はいらっしゃいませんか?」

これに対し、奥様はこう答えられました。

「夫から『絶縁した前妻がいるけれど、昔の裁判で全て解決して縁は完全に切れているから大丈夫』と聞いています」

しかし、相続手続きを進めるための「相続人調査」で、衝撃の事実が発覚したのです。


戸籍を遡って見つかった「会ったこともない相続人」

さっそく旦那様の戸籍を過去に遡って調べてみると、確かに前妻の存在があり、離婚も成立していました。前妻本人には当然、相続権はありません。

しかし、前妻との間に、旦那様の実子(子ども)が一人いたのです。

この事実を知らされていなかった奥様と娘様は、あまりのショックに言葉を失い、たくさん涙を流されていました。

ここから、奥様、娘様、そして「顔も名前も知らない前妻の子」の3人で遺産分割協議を行わなければならないという、過酷な現実がスタートしました。


銀行や法務局に「酌量の余地」はない

今回の遺産であるご自宅は、実は奥様のお母様が一部資金を援助して建てたものでした。さらに預貯金も、夫婦が二人三脚で一生懸命貯めてきたものです。

「たまたま名義が夫になっていただけ」というのが、遺族としての本音です。

しかし、手続きを行う法務局や銀行にとっては、そんな事情は関係ありません。

どれだけ理不尽に思えても、以下のルールが完璧に求められます。

  • 相続人全員の同意(署名・実印)が必要
  • 全員分の印鑑証明書の提出が必要

どれか一つでも欠ければ、家を自分の名義に変えることも、生活資金である預貯金を引き出すことも一切できません。そこに酌量の余地は一切ないのです。


前妻の子から届いた想定外の返事

「事情を話せば、きっと分かってくれるはず」

そう信じて、奥様から前妻の子へ丁寧にお手紙を送りました。

実際、これまで私たちが携わった宮崎での相続案件でも、「事情は分かりました。私は遺産は要りません」と快く書類を揃えてくれるケースは少なくありません。

しかし、今回はそう簡単にはいきませんでした。

前妻の子から返ってきたのは、悲痛な、そして現実的な言葉でした。

「私の母から聞いています。ひどい父親だった、ずっと恨んでいる。取り分があるなら、お金でください。」

感情の対立もあり、話し合いは完全に難航してしまいました。私たち行政書士は、遺産分割協議に携わることはできません。問題が起きた時点から、弁護士への依頼も提案していましたが、「これ以上お金も時間もかけたくない」というご遺族の意向もあり、ご自身たちでの粘り強い協議が続けられました。

解決までにかかった期間と結果

最終的に、以下のような形で解決を迎えました。

  • 解決内容:不動産の固定資産評価額と預貯金を合算した額から、法定相続分(4分の1)にあたる数百万円の現金を前妻の子へ支払うことで合意。
  • かかった期間:およそ1年弱

精神的にも体力的にも、非常にすり減る1年間となってしまいました。


悲劇を防ぐために:生前の「遺言書」や「対策」が幸せを繋ぐ

今回の件を経て、私は強く感じたことがあります。

前妻の子、そして今の奥様と娘様、それぞれに言い分や立場があります。

しかし、もし生前に旦那様が「絶縁しているから大丈夫」という言葉で終わらせず、具体的な対策をとっていれば、残された家族の苦労は確実に和らいでいました。

対策①:遺言書を作っておく

もし遺言書があれば、面倒な遺産分割協議をすべてスキップして、遺言書を基に土地・建物の名義変更や預金の解約がスムーズにできました

前妻の子には「遺留分(最低限請求できる権利)」がありますが、これは法定相続分の半分(今回は全体の8分の1)になるため、渡す現金の額も大幅に抑えられた可能性が高いです。

対策②:生前贈与を活用する

生前に自宅を奥様へ贈与(生前贈与)していれば、そもそも不動産の相続手続き自体が発生しませんでした。

また、税理士の専門分野にはなりますが、2500万円までの贈与であれば贈与税を課さずに相続時に精算できる「相続時精算課税制度」などの選択肢もあります。


まとめ:残される家族を守るために

「遺言書を書く」ということは、決して大げさなことではありません。大切な家族のこれからの生活を守り、余計なトラブルや涙を未然に防ぐための「最後の優しさ」です。

宮崎県、鹿児島県内で、「うちの家族の場合は大丈夫かな?」「少し複雑な事情があるかもしれない」と不安に思われた方は、ぜひ一度、行政書士法人TMsupportへご相談ください。

生前対策から相続手続きまで、あなたとご家族に寄り添ってサポートいたします。

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この記事を書いた人

「依頼者の想いや夢を実現する法律家」
ワンストップで生前対策から相続手続き、不動産の処分、二次相続の対策までサポートできること。
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